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理学療法士の未来を考える――日本と海外の違い、オーストラリアから学ぶ5つのヒント

私たちの身近にある「リハビリテーション」。歩く、立つ、手を動かすといった当たり前の動作を助ける理学療法士の存在は、高齢化が進む日本でいっそう注目されています。でも、世界に目を向けると、理学療法士の教育や働き方には国ごとにさまざまな違いがあることをご存じでしょうか。今回は日本の理学療法士と、オーストラリア、ドイツ、アメリカのそれぞれを比べながら、私が学んできたオーストラリアから取り入れたい学びポイントに加えて、実際の手技「オーストラリアンマニュアルセラピー」の要素を紹介します。

日本の理学療法士、今どんな学びと働き方?

日本では理学療法士になるため、専門学校3年または大学4年で筋骨格系や神経系の仕組みを学びます。卒業後は厚生労働省主催の国家試験に合格して免許を取得し、臨床では医師の処方箋(指示書)に基づいてリハビリを行うのが原則です。直接受診(Direct Access)は認められておらず、患者さんがPTに相談するにはまず医師の紹介が必要です。
活躍の場は急性期・回復期病院から訪問リハビリ、介護施設まで多彩。年収は若手で約430万円前後、自己研修は自主参加が基本。もっと自由に、もっと自分の学びを現場に活かしたいという声も聞かれます。

海外ではどうなっている?3カ国のリアル

オーストラリア

4年制大学卒業で登録可能。医師紹介なしにPTを受診できるDirect Accessが一般的で、Continuing Professional Development(CPD:継続教育)が法的に義務化。

ドイツ

職業学校+実習3年制。卒業後、州試験合格で免許取得。Direct Accessは原則不可。週38時間勤務、有給休暇30日以上と福利厚生が手厚い。

アメリカ

学士取得後に3年制臨床博士課程(DPT)修了、NPTE合格が必須。多くの州でDirect Accessを保証し、PTがPrimary Practitionerとして自律診療。専門認定(Board Certification)で高収入スペシャリストにも。

オーストラリアから学べる5つのヒント

1. 早期介入を促すDirect Accessの考え方

患者さんが気軽に相談できる環境は、痛みや動作制限への早期アプローチにつながります。院内研修で「紹介なしにできる相談窓口」を試験的に開設してみましょう。

2. 学び続ける仕組みづくり(CPD)

定期研修を「ポイント制」で管理すると、エビデンスの更新が組織文化になります。院内で研修カレンダーを共有し、受講記録を可視化するのがおすすめです。

3. 地域密着型の開業ノウハウ

開業PTの運営プランや保険者・行政連携の手法は、訪問リハの事業モデルにも応用可能。ビジネスプラン作りのヒントが満載です。

4. 多文化・多言語対応のスキル

通訳連携フローや文化適応ツールは、訪日・在留外国人患者の増加に対応する際、即戦力となります。多文化セミナーへの参加を検討してみてください。

5. 働きやすさを支える労働環境

残業規制や有給取得促進の仕組みをベンチマークし、スタッフ定着率アップ策として導入しましょう。

オーストラリアンマニュアルセラピーの要素を取り入れる

オーストラリアの理学療法士が実践する「オーストラリアンマニュアルセラピー」は、手技と運動療法を組み合わせたエビデンスベースのアプローチです。主な要素は次の通りです。

患者中心の評価分類

関節・神経・筋膜など、痛みや動きの制限因子を的確に分類。手技選択の根拠を明確にします。

Mobilization with Movement(MWM)

患部を動かしながら関節モビライゼーションを行う技術。痛みを伴わず、即時的な可動域改善と機能回復を目指します。

神経モビライゼーション

末梢神経の滑走を改善し、神経由来の痛みやしびれを緩和。安全なポジショニングと動的ストレッチを組み合わせます。

ソフトティッシュリリース

徒手による筋膜リリースや、場合によっては器具を使った組織滑走。筋筋膜の硬さを減らし、運動連鎖の改善を図ります。

教育とセルフエクササイズ

痛みのメカニズムをわかりやすく解説し、患者さん自身が続けられるセルフケアプログラムを処方。自己管理能力を高めます。

このように、ひとえに理学療法士と言っても国によって多種多様な実態があります。
日本で理学療法士の国家資格を取得した後、そのまま日本の理学療法を学ぶのか、それとも、プラスアルファで海外の、特にダイレクトアクセス権のある国の理学療法を学ぶのかで、理学療法士としての在り方が変わってくると思います。

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